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DPIの構成トークンを債権トークンに置き換えたBDPIとBasketDAOの概要

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はじめに

はじめまして、ビビドット (@vividot) | Twitterと申します。

本記事では、DeFiインデックスとして有名なDPIに対してヴァンパイアアタックを行ったBasketDAO(未監査)の概要について見ていきます。 一時的なものである可能性は十分にありますが、執筆時点でDPIの流通量約30万トークンに対し、BDPIは約14万トークンとほぼ半分に達しています。

間違い等ありましたらTwitterかコメントでご指摘いただけますと幸いです。

BasketDAOとBDPI

BasketDAOは、トークンバスケット(インデックス)を作成する開発チーム(もしくはコミュニティ)です。あえてプロトコルと称さず開発チームとしたことについては後述します。

そして、現在BasketDAOが提供している唯一のバスケットがBDPIです。BDPIはDPIと同じアロケーションで開始されました。 また、BDPIは次の3つの特徴を有しています。

① 利息付きDPI

執筆時点で、DPIを構成するトークンは次のようになっています。

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引用:https://www.indexcoop.com/dpi

このうち多くのトークンはAAVEやCompoundで貸し出したりStakeしたりする(Sushi)ことで利息やガバナンストークンを得ることができます。 そこで、BDPIでは、これらのトークンを債権トークンであるcTokenやaToken、xTokenに置き換えます。

現在はリスクに考慮してAaveとCompoundのみを利用していますが、今後の運用戦略についてはコミュニティの投票によって決めるとしています。

APYについて

では、BDPIはDPIより、どれくらいパフォーマンスが高いのでしょうか? BasketDAOのHPにはAPY表示がないので、DeBankで確認してみるとAPYは次のようになります。

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引用:https://debank.com/profile/0x0309c98B1bffA350bcb3F9fB9780970CA32a5060

これを適当に足し合わせて計算すると記事執筆時点でBDPIのAPYは0.72%になります。 また、利息のうち20%は後述するBasketDAOのガバナンストークンである$BASKのホルダー、10%はTreasuryに分配するため、実際のAPYは0.5%になります。

(そこそこAPYの高いBALがなぜかaBALにされてないので、aBALにされた場合は少しだけAPY高くなると思います。ちなみにDiscordで拙い英語で聞いたら無視されました。)

② バスケットの維持にかかる手数料がゼロ

バスケットのリバランスや前述した利息の取得にかかるガス代はTreasuryから払われます(バスケットの維持に手数料がかからないのはDPIも同様です)。

ただし、現在は無料となっているmint(DPI->BDPI/ETH->BDPI)と burn(BDPI -> 構成トークン)の手数料をアービトラージで利益を発生させるために0.5%にすることが検討されています。 小口であれば、DEXで売り買いすればいいだけですが、大口の参入障壁になる可能性はあります。

③ コミュニティによるリバランスの管理

DPIに含まれるトークンのアロケーションというのは、DeFi Pulseの専門家たちが決めています(詳細)。

一方、BDPIの場合、構成トークンを何にするか割合をどうするかをコミュニティが決めることができます。 メリットとしては、よりAPYが高いトークンを入れてみたりガバナンストークン$BASKを入れてみたりすることができます。

デメリットとして、BDPIと名乗っておきながらもDPIとはまったく異なる物になる可能性があることに注意する必要があります(ちなみにBDPIからのリブランドが検討されています)。
また、コミュニティの総意によってDPIのリバランスに追従する場合でも、DPIとまったく同じ条件でリバランスすることはできないので、利息付きであったとしてもDPIをアンダーパフォームする可能性が考えられます。

ガバナンストークン $BASK

BaskDAOのガバナンストークンが$BASKです。

総供給量は200,000であり約5.5か月の期間で、BDPIの単体ステーキングとBDPI-ETH・BASK-ETHの流動性提供に対して配布されています。 (なお配布スケジュールについては変更される可能性があります。)

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引用:https://www.basketdao.org/dashboard

$BASK(正確に$BASKをStakeした$xBASK)の保持者には、BDPIの構成トークンである債権トークンから受け取る利息の20%が分配されます。 (開発チームが管理するマーケットメイクボットによる利益も分配される予定となっています。)

分配については前述のAPYで考えると、現在のBASK放出量で1$BASKあたり4.3USD程度が見込めます。実際はBASK配布と同じスピードでBDPIの流通量が増加するとは思えないので、もっと低くなります。

また、現在はBDPIのAPYというよりはBASK目的に人が集まっているので、5ヶ月後どうなるかについては疑問です。

ヴァンパイアアタック

BasketDAOのローンチでは、DPIからBDPIへの移行にインセンティブを付与する、俗に言うヴァンパイアアタックが行われました。

ローンチ前からDPI・DPI-ETH LPのStakeに対して$BASKの付与を行い、BDPIローンチ時にStakeされたDPIやDPI-ETH LPはBDPIやBDPI-ETH LPに変換されました。 また、ローンチ時にもStakeしていたユーザに対しては合計3000$BASKが分配(30日かけて放出)されています。

量としては合計36219DPI(執筆時点で約1900万ドル)+LP分のETHのヴァンパイアアタックに成功しています。

参考TX① DPI->BDPI
参考TX② DPI-ETH LP -> BDPI-ETH LP

ちなみにBDPIの特徴の1つである構成トークンを他のDeFiで運用するというのは、PowerPoolなどで既にやられています。 それにも関わらず、Defi LlamaによるTVLでは約4倍に成長していて、これは「相場」もありますが「ヴァンパイアアタック」で注目を集めた影響が少なからずあると思います。

BDPIの買い方

BDPIの買い方は3種類あります。※This is not financial advice

Sushiswap

SushiswapでBDPI-ETHのペアが用意されているので、そこから買うことができます。

DPIをDepositして、BDPIをWithdrawする

HPの「DPI Continuous Migration Pool」でDPIをDepositしておくと、開発チームが一定期間ないし一定金額でBDPIに移行してくれます。 その後、コントラクトから引き出しすればOKです。

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Etherscanで見たい人用にリンクを貼っておきます(自分のアドレスではないです)。
参考TX① Deposit DPI
参考TX② DPI->BDPI (開発チームガス負担)
参考TX③ Withdraw BDPI

ETHから直接BDPIをmintする

HPの「Mint with ETH」からETHで構成トークンを買い集めて直接BDPIをmintすることも可能です。ただしガス代が非常にかかるので、BDPIを直接Sushiswapで買うとPrice Impactで損する大口向けです。

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参考TX① ETH->BDPI

BDPIの売り方

BDPIを売る場合は、買う時と同様にSushiswapで売ることもできますし、「Exit BDPI」からBDPIをBurnして構成トークンを受け取ることもできます(オススメはしません)。 ただし、BDPIを直接DPIに戻すことは出来ないのでDPIをBDPIに変えてみようかなと思っている方は注意してください。

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最後に

終わりに、冒頭でBasketDAOをプロトコルではなく開発チームと称したことについて書きます。 まず、DPIはSet Protocolというトークンバスケットを組成するプロトコルの上に載っています。一方、BDPIは開発チームによってコントラクトが直接デプロイ・管理されています。

そのため、今後PieDAOのDeFi+LをパクってBDeFi+Lを出すぞ!ってなったときには、開発チームが新しくBDeFi+Lというスマートコントラクトをデプロイする必要があるわけで、トークンバスケットを作るための何らかのスマートコントラクトが用意されているわけではありません。

また、BDPIのコントラクトは良く言えば柔軟な対応ができる設計・悪く言えば開発チームに権限が集中した設計になっています。 その点からも本記事では、BasketDAOのことをプロトコルではなく開発チーム(もしくはコミュニティ)と称しました。

ただし、BDPIのコントラクトには24時間のタイムロックがかかっているため、開発チームが持ち逃げ…の可能性は低いかと思います。 f:id:vividot:20210417203735p:plain:w300

個人的には、現在の低リスク重視のBDPIは$BASKを掘れる以外のメリットをあまり感じないので、Creamとかも使って高リスクだけどAPY高いBDPI-Highみたいなバスケットが出てきたら面白いかなと思います(アロケーションはDPIに従ってほしい)。

以上、BasketDAOの概要についてでした。

参考サイト

BasketDAO
GitHub - basketdao/contracts: Deployed Addresses for BasketDAO (Mainnet only)
BasketDAO – Medium